臨床検査学科の丹野大樹助教の筆頭著者論文が「Journal of Clinical Virology Plus」に掲載されました。本研究は本学附属病院感染制御部との共同研究になります。
【論文タイトル】
「Effect of recent SARS-CoV-2 infection on anti-spike protein immunoglobulin G II response after BNT162b2 vaccination (BNT162b2ワクチン接種後の抗スパイク蛋白質免疫グロブリンG II反応に対する直近のSARS-CoV-2感染の影響)」
【論文概要】
本研究は、SARS-CoV-2感染歴の有無によって、BNT162b2 mRNAワクチン接種後の抗体応答に違いがあるかを比較することを目的としました。ワクチン接種開始3か月前に院内感染を経験した病院職員83名を対象に、中和活性を有するスパイク蛋白(S)に対するIgG抗体(抗S IgG II)をワクチン接種前、1回目接種3週後、2回目接種3週後、6か月後に測定しました。その結果、感染歴のある10名は接種前から抗体価が高く、1回目接種3週後には抗S IgG IIが未感染群より有意に高値を示しました。一方で、2回目接種後には感染歴あり群で抗体価が低下し、未感染群では増加しました。6か月後の抗体価には両群間で有意差は認められませんでした。これらの結果から、直近にSARS-CoV-2感染歴がある患者にはBNT162b2ワクチン1回の接種で十分な免疫応答が得られることが示唆されました。
mRNAワクチンはSARS-CoV-2のみならずRSウイルスでも承認されており、将来的に様々な感染症ワクチンに応用されることが予想されます。本研究成果は、直近に感染した患者に対するmRNAワクチンの最適なブースター接種時期についてエビデンスを提供し、今後の予防接種・ワクチン政策に貢献することが期待されます。
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jcvp.2025.100224
研究成果が掲載されました
2025/07/08
臨床検査学科