保健科学部臨床検査学科の三浦里織助教・北爪しのぶ教授らの研究論文が「The Journal of Biological Chemistry」に掲載されました。

 「Endothelial expression of human amyloid precursor protein leads to amyloid β in the blood and induces cerebral amyloid angiopathy in knock-in mice
(APPノックインマウスの血管内皮細胞にAPPを発現させることで脳内血管へのアミロイドの蓄積が顕著になる)」

【研究概要】
 認知症の中で最も患者数の多いのがアルツハイマー病(AD)ですが、未だに根本的な治療薬はありません。AD患者の脳には、発症する20年ほど前からアミロイドβ(Aβ)ペプチドが脳実質と血管に沈着します。治療薬開発のために様々なADモデルマウスが用いられてきましたが、これらのADモデルマウスは脳内血管にAβが沈着する脳アミロイドアンギオパチー(CAA)病態はほとんど見られないという欠点を持ちます。本論文では、血管内皮特異的にヒトAβ前駆体タンパク質(APP)を発現するマウスを作出し、従来のADモデルマウスと交配させることで、脳内血管へのアミロイドの蓄積が顕著なモデルマウスの作出に成功しました。このマウスを駆使することで、ADの血管病態にメスを入れ、新規AD治療薬に資する知見を得ることが期待できます。本研究は、福島医大と理研、三重大学、量研、東大医科研と共同で行いました。

 DOI:https://www.jbc.org/article/S0021-9258(22)00320-9/fulltext