本学臨床検査学科3年生の千葉悠季さん(筆頭著者)、同学科3年生の堀川ひなたさん(筆頭著者)、総合科学教育研究センターの有吉健太郎准教授(責任著者)の研究論文が「Radiation Research」 誌に掲載されました。

【論文タイトル】
Radiation-induced Bystander Effect in Starfish (Patiria pectinifera) Oocyte
(イトマキヒトデ(Patiria pectinifera)卵細胞における放射線誘発バイスタンダー効果)

【研究概要】
 放射線がヒトやマウス等の培養細胞に「バイスタンダー効果(Radiation-induced bystander effect: RIBE)」と呼ばれる現象(放射線が当たった細胞から出されるシグナルによって、放射線が当たっていない細胞に様々な影響が引き起こされる現象)を誘導することが示唆されているが、RIBEが進化的に保存されているかどうかは依然明らかではない。
 本研究では、無脊椎動物であるイトマキヒトデの卵母細胞に対してX線を照射(2、4Gy)し、未照射の卵母細胞と照射卵母細胞を24時間共培養したのち、未照射の卵母細胞における細胞死の頻度を調べた。その結果、照射卵母細胞と共培養した未照射卵母細胞では、形態異常による細胞死とTUNEL陽性細胞(アポトーシス)の頻度が有意に増加することが観察された。さらに、照射卵母細胞を培養した海水で未照射卵母細胞を培養すると、未照射卵母細胞に細胞死とTUNEL陽性細胞を誘導した。
 本研究の結果は、RIBEが無脊椎動物であるイトマキヒトデで進化的に保存されていることを示している。

URL:https://doi.org/10.1667/RADE-23-00198.1