令和6年9月16日、17日の二日間、診療放射線科学科の長谷川功紀教授、山品博子講師、宮司典明学内講師、山尾天翔助手がユリウス・マキシミリアン大学ヴュルツブルグ(通称:ヴュルツブルグ大学)を訪問し、合同セミナーを開催しました。ヴュルツブルグ大学は放射線科学分野においてX線を発見したレントゲンが教授を務めた大学として知られています(写真1)。また、有機化学のフィッシャー投影式で有名なエミール・フィッシャーや、近代病理学の父として知られるルドルフ・ウィルヒョウも教授を務めた歴史ある大学です。
 本セミナーは日本学術振興会二国間交流事業の採択・支援により実現しました。その目的は、標的核医学治療の基盤技術開発に向けた日独連携研究のための情報交換と共同研究の開始でした。
 セミナーでは、日本側から山品講師が診療放射線科学科の研究概要を紹介し、長谷川教授がマイクロドジメトリに向けた標的発現細胞解析法について、宮司学内講師が日本の標的核医学治療の現状と課題について、山尾助手が核医学におけるAIを用いた定量解析法についてそれぞれ発表しました(写真2)。ドイツ側からも8人の研究者が核医学に関連した最新の研究内容を発表しました。
 発表後の討論では、今後の共同研究の可能性について話し合いました。特に、ドイツが先行して取り組んでいる標的核医学治療において、日本で今後課題となる治療後の大量の汚染廃棄物について、ドイツ側と協力して日本の事情を考慮した処理法を考案し、共に解決策を研究していくことで合意しました。
 また、山尾助手は10月から1年間、ヴュルツブルグ大学での留学が決定しています。彼のAIによる解析技術とドイツ側の豊富な臨床データを組み合わせ、新しい解析手法の開発が期待されます。さらに、本学学生のヴュルツブルグ大学への交換留学の受け入れについても前向きな話し合いがなされました。
 この訪問では、セミナーに加えて、標的核医学治療の入院施設や廃棄物処理施設の視察も行いました(写真3)。最先端の研究・臨床現場に触れ、多くの知見を得ることができました。今後、日本の現状とドイツの最新の知見を組み合わせて、廃棄物問題の最適な解決策を提供できると確信しています。
 最後に、ご対応いただいたヨハネス先生をはじめとする関係者の皆様に心より感謝申し上げます。