臨床検査学科の丹野大樹助教の筆頭著者論文が「Journal of Microbiology, Immunology and Infection」に掲載されました。

【研究タイトル】
「Validation of a modified enrichment broth for efficient screening of group B Streptococcus in pregnant women
(効率的な妊産婦GBSスクリーニング検査のための改良型増菌培地の検証)」

【研究概要】
 Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus:GBS)は、10~30%の妊産婦の膣や便中から検出され、母子垂直感染により新生児に重症GBS感染症を引き起こすことが知られています。その重篤性からすべての妊婦に対して選択増菌培地を用いたGBSスクリーニング検査の実施が世界的に推奨されていますが、日本を含めたアジア圏ではいまだに普及していないのが現状です。今回、我々は、色調変化によりGBSの有無を推定できる改良型増菌培地(極東製薬工業)を用いて、その有用性を検証するために愛育病院(東京)、北野病院(大阪)、福島医大病院(福島)、琉球大学病院(沖縄)とともに全国多施設で共同研究を行いました。
共同研究施設から集められた1839検体の解析結果より、改良型増菌培地において紫色または紫色と黄色の中間色であった検体はreal-time PCR解析でもGBSが検出されず、陰性的中率が100%であることが明らかにされました。以上のことから、黄変しなかった培地は追加検査無しにGBS陰性と判定できる可能性があり、改良型増菌培地を用いたGBSスクリーニング検査法は、従来の増菌培地と比べ検査コストと仕事量を削減できる効率的な検査法になり得ることが示唆されました。

DOI:https://doi.org/10.1016/j.jmii.2024.07.015