臨床検査学科の松田将門 助教(責任著者)らの論文が、一般社団法人 日本医療検査科学会の「2023年度 第30回 日本医療検査科学会 論文賞」を受賞しました。

論文名:
 定量限界に着目した7種の市販クレアチニン測定試薬の評価

受賞概要:
 日本医療検査科学会は、臨床検査の発展を国際的レベルで推進し医療技術の向上を図り、体外診断用医薬品・医療機器の国際化や標準化に関する活動などに取り組み、広く社会に貢献することを目的としている学会です。臨床検査に携わる医師や臨床検査技師が多数所属しています。本賞は、毎年、学会誌に掲載された論文の中から、編集委員会により2編に授与される賞です。

論文概要:
 クレアチニン(CRE)は腎機能評価の指標に用いられる血液検査マーカーです。また、CRE値と年齢、性別を用いて算出される推算糸球体濾過量(eGFR)は慢性腎臓病の診療などで広く用いられている検査項目です。そのため、日常の臨床検査として行うCRE測定には、高い正確性と低濃度域の定量性が求められます。
 CRE測定用の検査試薬は多種類市販されています。すると、検査試薬により、定量性などの性能が異なる可能性があります。ところが、多数の試薬を対象に、低濃度域の定量性すなわち定量限界(定量し得る最低量)を調べた報告はありません。
 本研究では6社の計7試薬を対象に、定量限界など様々な測定性能を調べ、各試薬の特徴を明らかにしました。そして、試薬間の特徴の違いの原因について、一般的に指摘される測定パラメータ(検体量と試薬量の割合)の違いに加えて、発色試薬の違いも影響していることを実験的に明らかにしました。