臨床検査学科の丹野大樹助教の筆頭著者論文が「Japanese Journal of Infectious Diseases」に掲載されました。

論文タイトル
「A Multicenter Study on the Utility of Selective Enrichment Broth for Detection of Group B Streptococcus in Pregnant Women  in Japan (本邦の妊産婦GBSスクリーニング検査における選択的増菌培地の有用性に関する全国多施設共同研究)」

【研究概要】
 Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus:GBS)は、10~30%の妊産婦の膣や便中から検出され、母子垂直感染により新生児に重症GBS感染症を引き起こすことが知られています。その重篤性からすべての妊婦に対してGBSスクリーニング検査の実施が推奨されていますが、本邦では検出感度が低いとされる直接法がいまだ主流の検査法として実施されています。今回、我々は、欧米で採用されている検出感度の高い増菌培地を用いたGBS検出法(増菌法)の有用性を評価するために、愛育病院(東京)、北野病院(大阪)、福島医大病院(福島)、琉球大学病院(沖縄)とともに全国多施設で共同研究を行いました。
 本研究は、増菌培地を使用した増菌法やラテックス法が直接法に比べ有意にGBS検出率を増加させること、また、直接法では17.3%のGBS保菌妊婦をGBS陰性と誤報告してしまう可能性があることを明らかにしました。本研究により、本邦においても選択的増菌培地を用いたGBSスクリーニング検査を実施することが強く推奨され、今後、増菌法が本邦のGBSスクリーニング検査の主流として実施されていくことが大きく期待されます。

福島県立医科大学[研究成果情報]:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/20231031-2.html
DOI:https://doi.org/10.7883/yoken.JJID.2023.295