理学療法学科の星 真行助教(共著者)の研究論文が「Sensors」誌に掲載されました。

論文タイトル:Fluctuations in Upper and Lower Body Movement during Walking in Normal Pressure Hydrocephalus and Parkinson’s Disease Assessed by Motion Capture with a Smartphone Application, TDPT-GT
特発性正常圧水頭症とパーキンソン病の歩行中の上肢および下肢運動のゆらぎ解析:iPhoneアプリモーションキャプチャを利用して

【研究概要】
 本研究論文は、iPhoneアプリモーションキャプチャを利用して、特発性正常圧水頭症(iNPH)とパーキンソン病(PD)患者における歩行の周期性の異常を捉えることを目的とした。iPhoneアプリTDPT-GTは、30Hzで身体の27点の3次元座標を算出するモーションキャプチャである。iNPH患者 23 名、PD患者23名と神経変性疾患のない92名の高齢ボランティア(対照群)を対象に、直径約1メートルの円を描く歩行をTDPT-GTで記録し、身体の各位置データとした。各点の安定した128フレーム分のデータをMATLABでフーリエ変換し、パワースペクトル対数と周波数対数のグラフの傾きの絶対値をその身体ポイント(点)のゆらぎ指数とした。iNPH群とPD群はそれぞれコントロール群に対して、体幹や上肢のポイントを含む26点の身体部位の全てでゆらぎ指数が小さかった。iNPH群では、身体部位の15点でPD群に比較してゆらぎ指数が有意に小さく、ゆらぎ 指数の差は手領域や肩、耳や頭でも認められた。本研究では、ゆらぎの異常がiNPHの歩行でもみられ、パーキンソン病よりも顕著で、その異常は歩行中の上肢や上半身のリズムにも及ぶことを明らかにした。また、これらのデータ取得に歩行解析装置や実験室は不要で、診察室のiPhoneアプリの数秒の記録で可能であった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10674367/