診療放射線科学科の大葉隆講師が共著者の研究論文(筆頭著者:福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 石川徹夫教授)が令和5年3月付で「Journal of Radiation Research」に掲載されました。
論文タイトル
Comparison between external and internal doses to the thyroid after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident(福島第一原発事故後に甲状腺が受けた外部被ばく線量と内部被ばく線量の比較).Journal of Radiation Research, 64(2), p. 387-398, 2023.
【論文概要】
東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)事故後、住民の外部被ばく線量が福島県「県民健康調査」の一つである基本調査によって調べられてきました。放射線の被ばくには、外部被ばくと内部被ばくがあります。近年になり、基本調査で得られた個人の行動記録より甲状腺の内部被ばく線量を推定する方法が開発されました。本研究では、事故後の甲状腺被ばくを包括的に評価するために、甲状腺が受けた外部被ばく線量と内部被ばく線量との関係性を解析しました。福島県内の浜通りと中通りの4つの自治体より、事故当時20歳未満で基本調査に回答した方を200人ずつ無作為に抽出し、甲状腺の外部被ばくと内部被ばく線量をそれぞれ評価しました。その結果、個人における甲状腺の外部被ばくと内部被ばく線量で有意な関連性は見られませんでした。また、福島第一原発周辺の16市町村の甲状腺の外部被ばくと内部被ばく線量の中央値を比較したところ、大きなばらつきが、目立ちました。
このような結果を踏まえて、甲状腺の外部被ばく線量のみで、個人の包括的な被ばく線量を代表することができないと考えられました。そのため、外部被ばくと内部被ばくを合計した線量を用いて、甲状腺がんなどとの関連性を解析するべきであると結論付けられました。
放射線医学県民健康管理センター https://fhms.jp/publication/detail/255.html
論文掲載雑誌https://academic.oup.com/jrr/article/64/2/387/7008806?login=true
研究成果が掲載されました
2023/07/04
診療放射線科学科