臨床検査学科の義久精臣教授らの研究論文が「PLoS One」に掲載されました。

論文タイトル:Clinical usefulness of the pattern of non-adherence to anti-platelet regimen in stented patients (PARIS) thrombotic risk score to predict long-term all-cause mortality and heart failure hospitalization after percutaneous coronary intervention.
経皮的冠動脈形成術を施行された患者の全死亡および心不全増悪入院に対するPARIS thrombotic risk scoreの予測能に関する検討

【論文概要】
 経皮的冠動脈形成術は冠動脈疾患に対する標準的な治療法の1つである。しかし、経皮的冠動脈形成術を施行された患者の長期予後を予測するための簡便なスコアリングツールは開発されていない。Anti-platelet regimen in stented patients (PARIS) thrombotic risk scoreは経皮的冠動脈形成術後の血栓症の発症を予測するための簡便なスコアリングツールとして開発された。本研究では、経皮的冠動脈形成術後の冠動脈疾患患者において、PARIS thrombotic risk scoreが長期予後を予測し得るか検討した。

 経皮的冠動脈形成術を施行された冠動脈疾患患者、連続1061名を対象とし、全死亡、心臓死、心不全入院のイベント発生を追跡した。平均追跡期間は1809日であった。1061名をPARIS thrombotic risk scoreにより3群(低リスク群:320名、中リスク群:469名、高リスク群:272名)に分類し、累積イベント発生率を比較した。カプランマイヤー解析ではPARIS thrombotic risk scoreの高リスク群は全死亡(P < 0.001)、心臓死(P = 0.022)、心不全入院(P < 0.001)の発生率が高値であった。多変量コックス比例バザード解析ではPARIS thrombotic risk scoreの高リスク群に属することは低リスク群に属することに対して、全死亡(ハザード比 1.76、95%信頼区間1.18-2.61、P = 0.005)および心不全入院(ハザード比 2.14、95%信頼区間 1.14-4.00、P = 0.017)に関する独立した予後予測因子であった。

 以上より、経皮的冠動脈形成術後の冠動脈疾患患者においてPARIS thrombotic risk scoreは長期的な全死亡および心不全入院のイベント予測に有用であることが示唆された。本研究は、本学循環器内科学講座の先生方との共同で実施しました。

URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274287

福島県立医科大学研究成果HP:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/220824.html

論文 DOI: 10.1002/ccd.30457