臨床検査学科の義久精臣教授らの研究論文が「Journal of Hypertension」に掲載されました。

論文タイトル:Effects of continuous positive airway pressure on very short-term blood pressure variability associated with sleep-disordered breathing by pulse transit time-based blood pressure measurements
睡眠呼吸障害と関連する超短期血圧変動に対するCPAPの効果-脈波伝達時間を用いた検討

【論文概要】
 血圧変動は、血圧の絶対値とは無関係に心血管疾患の予後と関連します。以前、我々は脈拍伝達時間(pulse transit time, PTT)を用い使用して、一心拍毎の血圧を非侵襲的にモニタリングできることを報告し、超短期的血圧変動の程度と睡眠呼吸障害(SDB)の重症度に強い関連があることを明らかにしました。本研究では、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が超短期的血圧変動に対してどのような効果があるかを検討しました。

 睡眠呼吸障害と診断された患者66名を対象に、連続2日間で終夜フルポリソムノグラフィーを行い、診断時とCPAP使用時でPTTによる血圧の連続モニタリングを行いました。超短期的血圧変動を評価するため、1時間あたりの12mmHg以上の一過性血圧上昇の平均回数をPTT指数として定義しました。

 結果、CPAPは睡眠呼吸障害パラメータを改善し、夜間の血圧の絶対値を低下させました。そして、超短期的血圧変動の指標であるPTT指数と収縮期血圧の標準偏差は、CPAP治療により有意に低下しました。ベースラインからCPAPまでのPTT指数の変化は、無呼吸低呼吸指数、閉塞性無呼吸指数、最小SpO2を含む睡眠呼吸障害パラメータの変化と正の相関を認めました。多変量回帰分析の結果、閉塞性無呼吸指数と最小SpO2の変化、および心不全の存在が、CPAP後のPTT指数の低下を決定する独立した因子でした。

 PTTによる血圧モニタリングにより、超短期血圧変動に対するCPAPの効果が明らかになりました。超短期血圧変動をターゲットにすることで、CPAPによる予後改善効果を得られる患者を特定する新しいアプローチが可能となることが示唆され、さらなる検討が必要と考えます。本研究は、本学循環器内科学講座および附属病院検査部の先生方との共同で実施しました。

URL:https://doi.org/10.1097/HJH.0000000000003395

福島県立医科大学研究成果HP:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/230420.html

論文 DOI: 10.1097/HJH.0000000000003395.