保健科学部(総合科学系)の有吉健太郎准教授が執筆に携わった研究論文が「Radiation Research」 誌に掲載されました。

Manual Scoring with Shortened 48 h Cytokinesis-Block Micronucleus Assay Feasible for Triage in the Event of a Mass-Casualty
Radiation Accident
(48 時間に短縮された細胞質分裂ブロック小核アッセイによる手動スコアリングは、大量死傷者の放射線事故によるマスカジュアルティ(多数傷病者)発生の際のトリアージに使用可能である)

【研究概要】
 細胞の染色体異常を指標とした放射線の線量推定(細胞遺伝学的線量測定)のうち、細胞質分裂阻害小核アッセイ法(cytokinesis-block micronucleus assay)は、薬剤によって細胞質分裂をブロックしたリンパ球における小核をカウントすることによって被ばく線量を推定する。小核のカウント自体は迅速で単純であるが、通常リンパ球の培養を72時間行わなければならず、トリアージでは推奨されていない。またトリアージでは高価で特殊な機器を使用したハイスループットスコアリングが推奨されている。本研究では、数十年使用されてきた72時間培養プロトコルの時間短縮化と低コスト(ギムザ染色による小核の手動スコアリング)による線量推定が可能であるかを検討した。その結果、48 時間の培養、およびギムザ染色での線量推定値も、ほとんどが実際の線量の ±0.5 Gy 以内であり、非被ばくリンパ球の解析に8分、被ばくリンパ球(2Gy、4Gy)の解析に約20分程度であった。この結果は、放射線事故後のトリアージに小核スコアリングが使用可能であることを示しています。