診療放射線科学科の大葉隆講師が筆頭著者の研究論文が令和5年2月1日付で「日本診療放射線技師会誌」に掲載されました。

原子力災害に対応できる診療放射線技師の人材育成の要点─福島第一原子力発電所事故の経験と教訓から
日本診療放射線技師会誌70巻, 2号, p. 19-28, 2023年2月.

【研究概要】
 本報告は、福島県内の診療放射線技師を対象として、福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故の対応経験を踏まえ、研究成果を原子力災害における実効性ある人材育成につなげることを目的としています。
 研究参加者は、勤務地域、職位、性別の異なる福島県内5グループ(計23名)の診療放射線技師です。まずグループインタビューの音声情報から得られたテキスト情報をコード化し、発話で特徴的だった項目を抽出しました。次に、頻出語句の割合を対応分析の手法を用いて図に展開し、「勤務地域の福島第一原発からの距離」と「性別」により、診療放射線技師の発話内容が異なる事が分かりました。以上の結果から、診療放射線技師の人材育成において、原子力災害時の日常生活に役立つ知識等への理解を深めるためには、対象者の勤務地域(原子力発電所からの距離)や性別を考慮しながらの知識の提供や学習が重要であることが導き出されました。
 本報告については、東京電力福島第一原発事故のような大規模災害が発生し、生活の広範囲に放射性物質が入り込んできた場合を想定しております。今後、このような大規模な事故は起こらないことを望みますが、診療放射線技師の人材育成の一環として今回の報告が一助になればと思います。


https://www.jart.jp/journal/jart/2023/jart02.html