診療放射線科学科の大葉隆講師が筆頭著者の研究論文が令和4年11月20日付で「日本放射線技術学会雑誌」に掲載されました。

 診療放射線技師の個人的背景に基づいた原子力災害への人材育成研修プログラム最適化の提案
 —福島第一原子力発電所事故の経験を生かして—
 日本放射線技術学会雑誌78巻, 11号, p. 1282-1294, 2022年11月.

【研究概要】
 本報告は、診療放射線技師向けの原子力災害について、人材育成研修の最適化を目的として、診療放射線技師の勤務施設や経歴や福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故の経験などの背景を踏まえた研修内容の重要性を提案するものです。研究対象者は福島県内の診療放射線技師330名でした。アンケート調査により、人材育成研修の「事前学習が必要(研修内容として重要)と思われる技術」と「基礎知識」を問い、結果を診療放射線技師の背景別で多面的に解析しました。
 その結果、病床数の少ない施設に勤務する診療放射線技師は、空間放射線量率測定や体表面汚染測定に関する技術が必要と考えておりました。一方、福島第一原発時に10年以上の経験年数を持ち、福島第一原発事故を経験した診療放射線技師は、内部被ばくに関する基礎知識が重要と考えておりました。また、福島第一原発事故前に原子力災害の研修を受けた診療放射線技師は、放射線に関するコミュニケーションスキルとしての被ばく相談の技術を、事前学習が必要な項目として重要視していました。ここから、放射線に関するコミュニケーションスキルはすべての診療放射線技師へ研修が必須であることが考えられました。
 以上より、求められる研修内容を適切な集団に提供するとともに、この研究内容を研修開催側が配慮する事が、診療放射線技師の背景を踏まえた最適化された研修内容の担保に重要であること、を本報告より示しました。

DOI:https://doi.org/10.6009/jjrt.2022-1307