理学療法学科の阿部浩明准教授らの論文2編が「神経理学療法学」に掲載されました。

①脳卒中後の Pusher behavior の改善効率および初期の重症度を加味した指標である “ 臨床的重症度 ” に関連する因子

【研究概要】
 本論文では脳卒中後に出現する姿勢定位障害として知られるPusher behavior(pusher syndromeやpusher現象と同義)の初期の重症度を加味したpusher behaviorの改善効率を算出して、臨床的重症度という新たな指標の創出を提案し、この指標に関連する因子を明らかにすることを試みています。その結果、pusher behaviorの臨床的重症度には年齢、下肢運動機能、Japan Coma Scale、Barthel Index が有意に関連しました。これらの因子は Pusher behaviorを呈する症例の退院までの期間やリハビリテーションの計画を立案する際に参考にすべき指標となる可能性があることを報告しました。

https://doi.org/10.57353/jsnpt.1.1_1


②運動麻痺と感覚障害を伴い病巣と対側に姿勢傾斜が出現した橋出血例に対する理学療法とその経過

【症例報告概要】
 脳卒中後に生じる姿勢定位障害の一つであるPusher現象(pusher behavior, pusher syndromeと同義)は病巣と対側へ姿勢が傾斜し、その傾斜と共に片麻痺と触圧覚および固有感覚などの障害を伴うことが多いことが知られています。一方、脳卒中後に出現する姿勢障害であるlateropulsionでは、片麻痺や触圧覚および固有感覚障害を伴わず、四肢の運動失調や、痛覚および温度覚障害などを伴って、病巣と同側へ姿勢が傾斜することが知られています。今回、報告した症例は橋出血後に片麻痺および触圧覚と固有感覚障害を呈して、病巣と対側への著しい姿勢傾斜がみられました。この姿勢傾斜はpusher現象の特徴を持ちますが、病巣の分析や先行研究の報告をもとに「lateropulsion」であると評価して、残存する感覚機能の活用に視点をおいた理学療法を実施したところ姿勢傾斜の改善がみられたことを報告しました。

https://doi.org/10.57353/jsnpt.1.1_12