臨床検査学科の義久精臣教授(責任著者)らの研究論文が「Frontiers in Cardiovascular Medicine」に掲載されました。
Renal Venous Stasis Index Reflects Renal Congestion and Predicts Adverse Outcomes in Patients with Heart Failure
(Renal Venous Stasis Indexは心不全患者における腎うっ血を反映し予後と関連する)
【研究概要】
心不全患者において臓器うっ血は重要な病態であり、腎内静脈血流(intrarenal venous flow: IRVF)分類が予後と関連します。近年、IRVFを定量化したrenal venous stasis index(RVSI)が提唱され、肺高血圧患者において、RVSIの上昇は右心負荷を反映し予後不良と報告されました。一方、心不全患者におけるRVSIの臨床的意義は検討されていません。
本研究では、心不全患者連続388名に腎血管エコー検査を施行してRVSI[ = (cardiac cycle time - venous flow time)/cardiac cycle time)]を測定し、Control群(RVSI = 0, N = 260)、Low RVSI群(0 < RVSI ≤ 0.21, N = 63)とHigh RVSI群(0.21 < RVSI, N = 65)の3群に分類しました。各群における心機能および右心カテーテル検査所見、心臓死や心不全増悪といった心イベント発生率との関連について検討を行いました。
RVSIの上昇は右房圧(P < 0.001)、右室右房間圧較差(P = 0.003)、下大静脈径の上増大(P < 0.001)や三尖弁輪収縮期移動距離の低下(P = 0.008)などの右心負荷指標と有意に関連していました。一方、心係数(P = 0.200)や左室駆出率(P = 0.201)、左室流出路血流の時間速度積分値の低下(P = 0.219)など心拍出量や低灌流指標とは関連を認めませんでした。Kaplan-Meier分析では、RVSIが高値であるほど心イベント発生率が有意に上昇しました(log-rank,P = 0.001)。多変量Cox比例ハザード分析では、High RVSIは心イベント発生に関する独立した予後規定因子でした(ハザード比1.908;95%信頼区間 1.046-3.479、P = 0.035)。
以上より、心不全患者において、RVSIは右心負荷を反映し、予後不良の指標となることが示唆されました。
本研究は、本学循環器内科学講座および附属病院検査部の教員との共同で実施しました。
DOI: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2022.772466/full
福島県立医科大学研究成果HP:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/220610_2.html
研究成果が掲載されました
2022/06/16
臨床検査学科