保健科学部(総合科学系)の有吉健太郎准教授が執筆に関わった研究論文が「Biology」 誌に掲載されました。

 「Evaluation of Global DNA Methylation and Gene Expression of Izumo1 and Izumo1r in Gonads after High- and Low-Dose Radiation in Neonatal Mice(高線量および低線量放射線照射後の新生仔マウス生殖線におけるグローバルなDNAメチル化およびIzumo 1およびIzumo 1rの遺伝子発現の評価)」

 マウス新生仔に高線量の放射線、および低線量の放射線を長期照射した後、マウスの精巣におけるグローバルなDNAメチル化パターンとIzumo1およびIzumo1r(Izumo1受容体)遺伝子の発現を分析しました。精巣における全体的なDNAメチル化パターンの結果は、低線量長期照射グループがそのDNAメチル化レベルを維持しているのに対し、高線量照射グループは年齢とともにDNAメチル化レベルの低下を示しました。また、精巣のIzumo1の発現レベルは、低線量長期照射グループでは照射終了後に回復しましたが、高線量照射グループでは年齢に関係なく低いままでした。卵巣でのIzumo1rの発現は、低線量長期照射グループでは年齢とともに徐々に減少しましたが、高線量照射グループでは低いままでした。私たちの結果は、低線量長期照射が異なるDNAメチル化パターンを誘発する可能性があり、性成熟前の放射線被ばくが配偶子形成と出産に影響を与える可能性があることを示しています。

 https://www.mdpi.com/2079-7737/10/12/1270