臨床検査学科の義久精臣教授(責任著者)らの研究論文が「Scientific Reports」に掲載されました。

【論文タイトル】
Malnutrition stratified by marasmus and kwashiorkor in adult patients with heart failure
成人心不全患者におけるマラスムス型およびクワシオルコル型栄養障害

【論文概要】
 栄養障害は心不全患者に高頻度に認められる合併症の一つです。小児において栄養障害の表現型はマラスムスとクワシオルコルに大別されます。一方で成人心不全患者における栄養障害の表現型の臨床的意義は明らかではありませんでした。本研究では2,308名の心不全患者のデータを収集し、マラスムス型(BMI 18.5 kg/m2未満と定義)とクワシオルコル型(血性アルブミン3.4 g/dL未満と定義)の有無により4群に分類しました(栄養障害のないC群65.5%、マラスムス型のみのM群5.8%、クワシオルコル型のみのK群24.0%、マラスムス型およびクワシオルコル型両方を示すMK群4.8%)。4群の臨床的特徴および予後に関して比較検討しました。M群は血圧が低値であり、血液検査ではK群とMK群はうっ血の指標であるBNP値が高値でした。心臓カテーテル検査では右房圧はM群とMK群にて低値でした。退院後の予後はMK群が最も不良であり、多変量Cox比例ハザード解析ではC群に比べてM、K、MK群は高い死亡リスクと関連していました(それぞれハザード比 1.790、1.657、2.313倍)。以上から成人心不全患者においてマラスムス型とクワシオルコル型栄養障害は異なる臨床的特徴を示し、また両方の栄養障害の合併は最も予後不良であることが示されました。心不全患者における栄養障害の分類は背景にある病態生理の理解と治療法の選択に有用である可能性が示唆されました。
 本研究は、本学循環器内科学講座の先生方との共同で実施しました。

福島県立医科大学研究成果HP:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/20240825.html
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39183311/
論文URL:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11345430/
PMID: 39183311 PMCID: PMC11345430 DOI: 10.1038/s41598-024-70273-1