保健科学部臨床検査学科の豊川真弘教授らの研究論文が「Scientific Reports」に掲載されました。

【研究タイトル】
「In vitro activity of tedizolid against 43 species of Nocardia species
(ノカルジア属43菌種に対するテジゾリドのin vitro抗菌活性)」

【研究概要】
 易感染患者に発生するノカルジア感染症は治療後の再燃を来しやすいことから、その予防を目的に6~12か月またはそれ以上の抗菌薬治療が必要とされています。一般的には抗菌薬治療(静脈内投与)に引き続き経口抗菌薬による予防投与へと移行しますが、ノカルジア属菌に有効で長期投与可能な経口抗菌薬は極めて限定されるのが現状です。本論文では、MRSA感染症治療薬として開発された新規オキサゾリジノン系抗菌薬(テジゾリド)が種々のノカルジア属菌種に対しても優れた抗菌活性を示すことを報告しました。テジゾリドは同一系統薬であるリネゾリドよりも骨髄抑制を来しにくいことが報告されていることから、リネゾリドの代替薬としての有用性が示唆されました。一方、本論文ではテジゾリドに耐性を獲得したノカルジア株についても併せて報告しました。本株はブドウ球菌などのグラム陽性菌に見られる耐性機序を有していなかったことから、新たな耐性機序の存在が示唆されました。更なる研究が求められます。

DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-55916-7