臨床検査学科の義久精臣教授(責任著者)らの研究論文が「Circulation Journal」に掲載されました。

論文タイトル:Regional Variation in the Clinical Practice and Prognosis in Patients With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction in Japan - A Report From the Japanese Registry of Acute Decompensated Heart Failure (JROADHF) -
左室駆出率の低下した心不全患者における診療内容や予後に関する地域差の検討
 
【論文概要】
 左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)の治療に関するエビデンスが蓄積され国内外の心不全ガイドラインに明記されている。しかしながら、日本のHFrEF患者における診療内容や予後に関する地域差の有無は明らかではなかった。日本循環器学会が実施した本邦最大規模のレジストリーであるJROADHF(Japanese Registry of Acute Decompensated Heart Failure)のデータを用いて検討した。
  
 JROADHFに登録された4,329名のHFrEF患者を北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州の6地域に分類して、患者背景、治療内容、予後に関して、比較検討した。年齢は関東と近畿地方で最も低かった。心不全の原因となった虚血性心疾患や心筋症などの基礎心疾患の内訳は6地域間で有意差を認めた。併存疾患の頻度や入院時のB型ナトリウム利尿ペプチド値に関して6地域間で有意差を認めなかった。しかし、退院時における心保護薬を含む処方内容には地域差を認めた。一方、入院期間、入院中死亡率、退院後の心臓死と心不全入院からなる複合アウトカム、心臓死、心不全入院の頻度に関して、6地域間で有意差を認めなかった。以上から日本のHFrEF患者において患者背景や診療内容には地域差が存在するが、予後には地域差がないことが示された。

 本研究は、本学循環器内科学講座および九州大学循環器内科学講座の先生方との共同で実施しました。

福島県立医科大学研究成果HP:
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/230420-2.html

論文URL: https://doi.org/10.1253/circj.CJ-22-0774