理学療法学科の楠本泰士准教授らの研究論文が「小児理学療法学」に掲載されました。

 小児リハビリテーション分野の目標設定における共同意思決定の現状と目標設定の課題 ─アンケートによる質的研究─

【研究概要】 
 本研究論文は、共同意思決定(Shared decision making;SDM)の知識と実践状況の乖離、患者の年齢帯や療法士の経験年数による目標設定の違いを明らかにしています。小児疾患に関わる療法士115名を対象とし、ウェブアンケートにて目標設定の負担や実践の程度、目標設定に関するSDMの実践状況や内容を調査しました。経験年数による2群で比較し、自由記述の内容は質的記述的分析を行いました。目標設定に負担を感じている対象者が全体の2/3以上おり、2群間でSDMの実践状況に差はなく、対象児の年齢に応じて目標設定内容に違いがありました。また、SDMの実践状況と質的記述的分析の抽出内容に乖離がありました。以上の結果から、小児分野の療法士は、SDMの知識とSDMの実践状況に乖離があり、経験年数の違いにより目標設定内容に違いがあることが示唆されました。この結果を踏まえ、SDMの正しい理解や経験年数、目標設定の思考過程を参照して、卒前卒後教育に活かしていく必要があります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjppt/1/1/1_7/_article/-char/ja