臨床検査学科の義久精臣教授らの研究論文が「Scientific Reports」に掲載されました。(筆頭著者)

Impaired brain activity in patients with persistent atrial fibrillation
assessed by near-infrared spectroscopy and its changes after catheter ablation
(持続性心房細動患者における近赤外線スペクトロスコピーで評価した脳活動性低下とカテーテルアブレーションによる変化) 

 論文はこちらから閲覧可能です。
 DOI: https://www.nature.com/articles/s41598-022-12097-5

【研究概要】
 心房細動は高齢化と共に増加し、脳梗塞の原因となる不整脈ですが、近年、認知症やうつ病などとの関係についても指摘されています。近年、近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy, NIRS)を用いて大脳皮質の酸化ヘモグロビン血中濃度の増減を測定することにより、脳血流や脳機能を評価する非侵襲的な検査が可能となりました。本研究ではNIRSを用いて心房細動患者における脳血流を評価し、対象群と比較検討を行いました。また、カテーテルアブレーション治療前後における脳血流の変化と抑うつ状態および認知機能との関連について検討しました。
 対照群と比して、持続性心房細動患者では、前頭部および側頭部の脳血流変化量は低値でした。また、カテーテルアブレーション後、3カ月以上洞調律を維持した患者の半数以上(特に術前に脳血流変化量が低値であった方)において、脳血流変化量が改善しました。さらに、前頭部脳血流の改善度は抑うつ指標の改善と、側頭部脳血流の改善度は認知機能改善度とそれぞれ関係していました。
 持続性心房細動患者では前頭部および側頭部の脳血流変化量が低下しており、カテーテルアブレーション治療による脳血流の改善が抑うつ状態や認知機能の改善と関連している可能性が示唆されました。なお、本研究は、本学循環器内科学講座および精神神経医学講座の教員との共同で実施しました。