保健科学部診療放射線科学科の五月女康作准教授らの研究論文が「Journal of Clinical Neuroscience」に掲載されました。

 リハビリテーションに用いられている装着型サイボーグHAL®(Hybrid Assistive Limb®)は装着型ロボットで、近年、脊髄損傷(SCI)を含む運動障害患者の治療に使用されています。脊髄損傷患者に対するHALの有効性はいくつかの研究により示されているが、HAL介入中の脳活動の変化についてはまだ十分に解明されていない。C4完全四肢麻痺の慢性脊髄損傷者である19歳の男性に、5週間、計10回のHALトレーニングを実施した。4回目、6回目、10回目のHALセッション後にタスク誘発型機能的MRI(fMRI)を用いて彼の脳活動を評価した。fMRIの結果,本患者の大脳皮質では,運動イメージ課題に対する反応が対照群に比べ増加していた.また、5週間のHAL介入期間中に大脳皮質の活性化パターンが変化していた。その結果、一次運動野において大脳の側方化が促進された。また、頭頂葉前部で算出された側性指数は、HAL治療期間中、mAsスコア全体と有意な負の相関を示した。これらの結果から、本症例の大脳皮質はイメージ課題時に過活動であり、HAL治療の進行に伴い皮質の活性化が抑制されることが示唆された。

URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35228088/