理学療法学科の森下慎一郎教授らの総説論文が「FUKUSHIMA JOURNAL OF MEDICAL SCIENCE」誌に掲載されました。

【論文タイトル】
「Current status of research on sarcopenia in post-treatment cancer survivors in Japan: A narrative review
(日本におけるがん治療後サバイバーのサルコペニア研究の現状: ナラティブレビュー)」

【論文概要】
 サルコペニアは、がんの種類にもよるが、成人がん生存者の11~25%にみられるが、日本における治療後の生存者についてのデータは限られている。がん患者が悪液質を発症した場合、その結果として持続的な体重減少を経験し、最終的にサルコペニアに至る可能性がある。逆に、治療後に体重が増加し、サルコペニア肥満になる患者もいる。したがって、サルコペニアの予防と管理の重要性は否定できない。がん生存者のための運動ガイドラインでは、継続的な身体活動を推奨している。最近の研究では、薬理学的、栄養学的、運動学的アプローチを組み合わせた複合的介入の有効性が報告されており、治療後のサルコペニアに対する集学的ケアが必要とされている。また、モバイル機器を用いた革新的な健康介入も注目されている。しかし、がん治療後のサバイバーにおけるサルコペニアに関する研究、特に運動介入に関する研究は、日本ではまだ乏しく、その主な理由は、そのような治療後の介入に対する保険適用が限られていることと、労働力の問題である。がんサバイバーの一部にサルコペニアがあることは明らかであり、これは生存率の低下や二次的な疾病につながる可能性がある。運動の有益性は明らかであるが、サルコペニアに対する包括的なアプローチは今後のさらなる課題である。

URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/fms/advpub/0/advpub_23-00019/_article/-char/ja