教員からのメッセージ
細胞診断学(婦人科、頭頸部、膵胆管)、病理組織学、解剖学
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細胞検査士になるためには?
2023/07/26私はおよそ30年間、大学病院の病理診断を行う部署で細胞検査士として勤務し、膨大な病理細胞診検体を経験してきました。その経験から、病理診断や細胞診業務は、魅力的でやりがいがあると感じています。
本学部は開学より3年目を迎え、臨床検査学科では令和5年9月より、選抜者5名による細胞検査士養成コースがスタートします。細胞検査士は、公益社団法人日本臨床細胞学会の認定資格です。試験は10月に1次試験(筆記と写真問題)、11月に2次試験(標本を顕微鏡で観察して病変を推定する)があり、年1回行われ、合格率は各々50%程度といわれています。試験の主軸ともいえる2次試験では、標本を顕微鏡で観察するスクリーニング試験と同定試験があります。そのため、細胞検査士養成コースでは、2次試験までに何万枚もの標本を顕微鏡で観察し実力を培います。細胞検査士資格試験に合格後,臨床検査技師国家試験に合格して、細胞検査士となることができます。ダブルライセンス取得までの流れを図に示しました。
細胞検査士の役割の一つとしては、子宮頸がん検診の細胞診検査や、エコー検査やCT検査、内視鏡検査で指摘された病変部へ針を刺して採取した細胞を顕微鏡で観察する検査があります。細胞の種類を正しく見極め、良悪性などを判断しなくてはいけません。ヒトの体の中には様々な種類の細胞があるため、診断の決め手となる重要な細胞を見つけ出す特殊なスキルが求められます。これも細胞検査士養成コースの顕微鏡実習で学びます。
細胞検査士と臨床検査技師のダブルライセンス取得後は、主に病院の病理検査室等が活躍の場となります。現場では様々な医療スタッフと連携し、正確・迅速・安全性を備えた臨床検査技師・細胞検査士が求められます。2025年4月、1期生が臨床検査技師・細胞検査士として羽ばたいてくれることを大いに期待しています。 -
筋トレでLet’s stay in shape!!
2022/05/25人生100年といわれる時代を迎え、健康寿命といった言葉はここ数年で定着しました。そのような時代に向け“貯筋”は思いもよらないケガの回避にも繋がり、医療経済的にも重要なことです。
そんな私も長きに渡り運動とは縁のない生活を送り、日々の検査業務と研究に追われ、健康維持増進など考えてもいませんでした。そのような生活のためか40歳を過ぎたころから腰痛が酷く、体力の低下や健康診断で指摘を受けるようになりました。そこで一念発起し、スポーツクラブに入会、筋トレと若干の有酸素運動を始めたところ、ひと月で脂肪量が3.0㎏減少し、筋肉量が2.8㎏増加、いつの間にか腰痛は消え仕事に集中できるようになりました。筋トレ開始から半年後の健康診断では、全て評価Aとなり驚くべき改善が得られました。食事は以前よりしっかり食べダイエットはしていません。今では筋トレは生活の一部となり、食事内容や生活習慣に気をつけるなど、人生のターニングポイントになりました。
現在も週に2~3回程度のジム通いを継続しています。私のトレーニング内容を少し紹介したいと思います。プログラムは、①胸(大胸筋)と肩(三角筋)、②背中(僧帽筋と広背筋)と腕(上腕二頭筋と上腕三頭筋)、③下半身(大殿筋,大腿四頭筋,ハムストリングス)とお腹(腹直筋)の3つに分け、フリーウエイトとマシーンを組み合わせて行っています。①ではベンチプレス、スミスマシーン、ショルダープレスなど、②ではラットプルダウン、ロウイングマシーンなど、③ではスクワット、ルーマニアンデットリフトなど、です。フリーウエイトの王道といわれているベンチプレスは60㎏を10回×4~5セット、スクワットは80㎏を10回×4~5回、ルーマニアンデットリフトは60㎏を10回×4~5回行っています。
スポーツは、球技、陸上、水泳など多岐に渡る分野・種目に分かれており、人により得意不得意があります。それに対して筋トレは誰もができるエクササイズです。正しいフォームでクールにきめ、筋力アップにチェレンジしてみては如何でしょうか。筋肉アップを自覚すると不思議と自信が持てるようになり、学業にも一層力が入り、困難も乗り越えられる精神力が得られるはずです。唯一の悩みは衣類のサイズが明らかに小さくなり着られなくなることでしょうか・・・。
皆さんも健康維持増進のために筋トレ、初めてみてみませんか?? Let’s stay in shape!! -
憂鬱な学問と臨床検査技師 -さらなるSTEP UPに向けて-
2022/04/27私は28年間、臨床検査技師(細胞検査士)として東京慈恵会医科大学病院において病理診断を行う実臨床検査の場に勤務し、その後1年半、横浜市立みなと赤十字病院を経て、4月より本学の教員として臨床検査学科で教育に携わることになりました。私は臨床検査学科で病理分野を担当します。その病理学(=pathology)は、ギリシャ語でpatho(憂鬱)とlogy(学問)で憂鬱な学問と訳されます。病理分野は多岐に渡る疾病・疾患の成り立ちから学ぶため、継続した学習と根気が必要であるということでしょうか。しかし、臨床検査技師となるためには避けられない重要な科目の一つで病理診断には不可欠です。
病理診断を担う部署は、病理診断科、病院病理部、病理検査室等の名称で呼ばれています。その業務内容について私の恩師から病理のABCとして、病理解剖(Autopsy),組織診断(Biopsy)、細胞診断(Cytology)と教授されました。このABCを主軸として、病理分野は更に細分化され、多様な染色や標本作製過程の各技術、免疫組織(細胞)化学、術中迅速組織(細胞)診断,電子顕微鏡、遺伝子検査、医療安全など、それぞれの領域を極めたスペシャリストが病理診断業務において重要な役割を担っています。また、臨床検査技師の資格取得後、各団体の認定制度や資格試験を突破した高度な専門的知識とスキルを有するスペシャリストも活躍しています。本学の学生諸君においても、卒後は様々な認定試験の取得とスキルを習得し、専門職ならではの助言や報告ができる臨床検査技師を目指してもらいたいと望んでいます。
医療現場は様々な業種の医療スタッフとのチーム医療で成り立っています。病理分野に係る臨床検査技師の役割は日常診療上極めて大きいものです。その理由は、疾患の源からサンプルされた検体を用い、病気のタイプを詳細に判断する分類学に相当するからです。その診断により、多くの治療法(手術適応、手術範囲、化学療法や治療薬の適応)が決定されます。臨床的に指摘された病変部、すなわち“病気そのもの”を観察するため、病理は“確定診断”となり診療科の中核的存在です。一方、各市区町村で実施されるがん検診やドック健診のような無症状の人を対象に行うスクリーニング検査にも寄与し、子宮頸がん検診で臨床検査技師が活躍しています。子宮頸がん検診のスクリーニング検査を担う臨床検査技師は細胞検査士という認定資格取得が必須で、本学においても養成コースが設けられています。細胞検査士は、確定診断の一翼を担う治療に直結する職種であり、全臓器の疾患に関する豊富な知識が求められます。すなわち、細胞検査士は病理診断を行う病理医や治療を行う臨床医に対し助言できる高度な専門職です。細胞検査士養成コースは、国公立医科大学20校中4校に設置されており、本学は最も新しい大学となります。細胞検査士取得後は、国際細胞検査士のライセンスを取得しグローバルに活躍することも可能です。
現在では各診療部門の専門性が高く、臨床検査技師においても、その専門的知識や技術は医療に必須であり、「縁の下の力持ち」にとどまるものではありません。カンファレンスや学内外の学術活動を通しスキルアップも求められます。実践の場で活躍できる臨床検査技師を目指し学生の皆さんには、高い目標に向かって勉学に励んでもらいたいと思っています。大学4年間の努力は、必ず実を結ぶものと確信しています。私も教員として一心不乱に自分を磨き切磋琢磨して参ります。
私の実臨床での経験から伝えられるアドバイスは、「Practice makes perfect! Keep it going!」です。