教員からのメッセージ
放射線治療技術学、粒子線治療
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そなえよつねに
2023/09/20《一に準備、二に準備》《予感、予想、予測、予防……「予」を大切にせよ》 「そなえ ~35歳までに学んでおくべきこと~」、「ノムラの教え 弱者の戦略99の名言」より
これは、野村克也氏が監督時代、毎日のように選手たちに伝えていたとされる言葉です。プロとしてよい結果を生むためには、何よりも事前の準備が重要であり、その内容によって結果の大部分が決まるのだと伝えています。また、あらかじめ感じ、あらかじめ想像し、あらかじめ測り、あらかじめ防ぐという、リスク管理における事前準備の大切さを、野村氏は「予」という漢字を用いて説いています。
《ハイレベルのスピードでプレイするために、ぼくは絶えず体と心の準備はしています。自分にとって大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです。1打席のために、朝から、もっと言えば、前日のゲームが終わった時から、僕は(準備を)やるわけです。》 「イチロー流 準備の極意」より
イチロー氏はこの本の中で、十分に準備を行うことで本番への自信につながることを説いています。
このように、世間から“すごい人”、“別格な人”と思われている人は皆、「準備」をとても大切にしています。
タイトルの「そなえよつねに」という言葉は、ボーイスカウトのモットーであり、「何事に対してもいつでも必ずやり通すという準備を常にしておく」という意味です。私は少年時代にボーイスカウト活動をしておりましたが、当時は「そなえよつねに」という言葉をそこまで深く考えることはありませんでした。しかし、資格試験や学会発表、患者さんに対する放射線治療、学生への講義...と様々な経験をする中で、“常に備えること”がいかに重要かということを、私は身をもって実感してきました。
後悔することを好む人はいないと思います。私も後悔することはとても嫌いなので、どんな些細なことでも、あらゆる事態を想定して事前に準備することで、「ああしとけばよかったなぁ」と後悔しないようにいつも心がけています。
受験生の皆さん、受験勉強がより本格的になってくる時期にさしかかったことと思います。勉強していて不安に思ったら、それは準備不足のサインです。そのサインを“不安”として抱えてしまうよりも、一度深呼吸して、「なぜ不安に思うのか」を考えてみるようにしてみてはどうでしょうか。受験勉強は“合格のための準備”です。
「準備を制する者が受験を制する!」 -
やるならとことん全力投球!
2022/07/20今からもう10年以上前、私が大学生の頃の話になります。大学生になって2ヶ月が過ぎた頃、そろそろアルバイトをしてみたいと思うようになりました。大学に入ってすぐに医学部バレー部に所属し、浪人生活2年間で衰えた体に鞭打っている最中でありましたので、できれば体をあまり動かさないバイトがいいなと思い、家庭教師(個別教室)のバイトをすることにしました。
その個別教室は私が高校3年生のときにお世話になっていた教室だったので、授業の流れは理解していました。また、浪人時代にかなりの時間を費やして受験に必要なスキルを身に着けたという自信がありましたので、人に教えるのは容易いことだと思っていました。しかし、いざ生徒の指導が始まると、「あれっ、これってどうしてこうなるんだっけ?」「なんでこうしなきゃいけないんだっけ?」ということが多々あり、自分ではわかっているつもりだったけれど、実は本質的には理解できていなかったこともあるんだと思い知らされました。
「これはそういうものだから」とか「そこはテストでは問われないから」などと理由をつけて触れないようにすることもできたと思います。しかし、生徒が十分に納得していない様子を見て、そんな対応ではダメだと思い、どうやったらうまく説明できるのか、どういう角度から説明すれば理解しやすいのかということを考えながら、浪人生時代に使用していたテキストを引っ張り出してきて再度勉強しました。また、指導時間が終わってから、そして時には自分の大学の定期試験の勉強中にも補足説明のプリントを作ったり、生徒からの質問事項の回答書を作ったりとできる範囲で色々やってみました。すると、生徒の納得した表情を見る機会が次第に増えていき、それとともにとてもやりがいを感じるようになりました。
最終的には、大学4年間と大学院2年間の計6年間で延べ100人近くの生徒に指導しましたが、定期テストの対策であろうと大学受験の対策であろうと、また相手が小学1年生であっても浪人生であっても、中途半端な教え方をすることなく、“とことん全力投球する”ことが大切だと実感しました。
医療現場において中途半端は決して良くありません。本学では目の前の患者さんに全力で向き合うことのできる診療放射線技師を育てていきたいと思います。また、学生だけでなく、自分自身も患者さんのためにとことん全力投球できる診療放射線技師でいられるよう精進したいと思います。
最後に、受験生の皆さん、全力でやってみてそれが不本意な結果に終わったとしても、トライしたことは決して無駄にはならないと思いますので、受験勉強においてもそれ以外のことにおいても、ぜひ“とことん全力投球”してみてください。
写真:家庭教師時代の“全力投球”の痕跡 -
勇気をもって立ち止まろう!
2022/04/27はじめまして。令和4年度に着任致しました診療放射線科学科の原田崇臣と申します。名前は“たかおみ”と読みます。
私は生まれも育ちも愛知県の名古屋市です。昭和63年12月4日に生を享けた私は、名古屋市内のK幼稚園→T小学校→H中学校→S高等学校→K塾で浪人(2年間)→N大学→N大学大学院と経て、平成27年に福島県郡山市内の病院に勤務することとなりました。郡山市内の病院に7年勤務したのち、今年度より診療放射線科学科の教員となりました。
さて、私が放射線技師を目指したのはK塾在籍時、人生3度目のセンター試験に打ちのめされたものの、医師になる夢を断念しきれずにいるときでした。医療に携わりたいけど今の成績では医師にはなれない、そもそも医師になって何がしたいのか...と思い、一旦受験勉強のことは忘れて、“自分の現状と今後”に関して思いつくままに白い紙に書きなぐっていきました。そして、人生プランを見直した結果、“医療の現場で人と接する仕事がしたい”、“患者さんの病気を治す仕事がしたい”というキーワードが浮かび上がってきました。インターネットで医療従事者について色々と検索した結果、“放射線治療に携わることでがん患者さんの助けになりたい”という答えにたどり着き、放射線技師を目指すことになりました。
何事も目標をもつことは非常に大切です。ただし、明確な目標を持っていないと次のステージに進んではダメなのかというと、必ずしもそうではないと思います。重要なのは、【迷ったら立ち止まることを恐れず、“これまでとこれから”を考えるタイミングをつくる】ということだと思います。浪人生時代に人生プランを再設計して以来、私は今でもこの考え方を大切にしています。
福島県立医科大学保健科学部に興味のある皆さん、また、放射線に興味のある皆さん、ともに楽しく学ぶことができる環境を作ってお待ちしております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
写真:原田崇臣の“これまでとこれから”