教員からのメッセージ
神経疾患の作業療法、高次脳機能障害、パーキンソン病、認知症
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春になると思い出すこと
2024/04/10みなさんは春になると必ず思い出す出来事はありますか?
私は春になると決まって大学に入学した4月のオリエンテーションを思い出します。初めての土地、初めて出会う人たち、その一瞬一瞬がワクワク、ドキドキしました。その時の情景は今も鮮明に憶えています。
記憶とともに、みんな何しているかな?と当時のままの同級生の顔を思い出します。養成校で苦楽を共にしたクラスメイトは本当に大切な存在です。
この、情動を伴う出来事の記憶を「情動的記憶*」といい、ほかのそうではない記憶と比べて記憶に残りやすく、思い出しやすいことがわかっています。
大学入学は十数年前の出来事ですが、おそらくこれからも春になると繰り返し思い出されるでしょう。
新入生 在校生のみなさん4年間という限られた時間のなかで、一生忘れられない大切な出会いや経験をしてほしいと思います。
リンク名:*情動的記憶 脳科学辞典
URL:https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%83%85%E5%8B%95%E7%9A%84%E8%A8%98%E6%86%B6 -
3Dプリンターで魅せる作業療法
2022/10/19最近、作業療法学領域では3Dプリンターを使い、対象者に合わせた生活支援が行われています。本学作業療法学科でも3Dプリンターを導入し、学生の教育にも積極的に活かしています。
私もこれまで対象者の方と関わる中で、3Dプリンターを使い自助具を作製したことがあります。ある対象者の方は握力が弱く物を掴めない状態でしたが、自分のことは自分でやりたいと強い希望がありました。そこで早い時期から3Dプリンターを利用し、手の状態ややりたいことをご本人と確認しながら一緒に作製しました。その一つに、ペットボトルホルダーがあります(写真)。握力が弱くても落とさず、手の大きさにも合い出来るだけ軽量なものを作りました。これにより好きなタイミングで好きな物を自分で飲めるようになりました。
3Dプリンターで作製したモノは再現性はもちろん、ミリ単位で調整できるため、状態の変化に合わせ即座に対応できます。この欲しい時に欲しいモノをオーダーメイドできる最大のメリットは、そのモノによりやりたい活動ができ、好きなことに参加できることだと思います。そして、その先にある生活や想いを支えることが作業療法士の役目であり、作業療法の醍醐味でもあります。
今後、3Dプリンターは保健医療の分野でますます普及していくでしょう。対象者のニーズに応える、多くの人のオリジナリティに触れられると思うと今から楽しみで仕方ありません。 -
“私(あなた)”にとって大切なこと
2022/04/20私はこれまで主に神経変性疾患、神経難病を患う方々の支援と研究を行ってきました。私が学生の皆さんにお伝えしたいことは、「今この瞬間を大切にする」ということです。明日のことは誰にもわかりません。ある日突然、いつも出来ていたことが出来なくなることがあるかもしれません。そのため今自分が好きなこと、やる必要があると思ったことについては、周りを気にせず全力で取り組んでほしいと思います。そこでの経験は必ずあなた自身を助けてくれます。そしていつか誰かの助けになるかもしれません。これは私が臨床で担当させて頂いた多くの方々から教えていただいたことです。
私も普段から悩みは尽きませんが、その都度自分にとって今何が大切かを考えて行動するようにしています。大学生の時間は限られています。ぜひ日々の経験を大切にしてほしいと思います。私も皆さんと一緒に多くの経験をともにできたら嬉しいです。