教員からのメッセージ
該当の教員情報はありません。
-
大気中マイクロプラスチックの実態解明に向けて
2021/09/012021~2023年度に、環境省環境研究総合推進費(研究課題:大気中マイクロプラスチックの実態解明と健康影響評価、研究代表機関:早稲田大学)の一環で、福島駅前キャンパス屋上において、大気中のマイクロプラスチック濃度を測定するため大気エアロゾルと降雨の採取を行います。このプロジェクトは、①大気中マイクロプラスチックの分析法確立と実態解明、②大気中マイクロプラスチックの環境動態モデリング、③大気中マイクロプラスチックの呼吸器影響の解明の3つのテーマからなっています。私はテーマ①に参画しています。また、福島県内では、福島駅前キャンパス(都市域)のほか、福島県浪江町(森林域)を予定しています。
プラスチック生産量は1950年以降に急増し、その一部が海洋に流入し、海洋生態系の破壊が懸念されています。このため、持続可能な開発目標(SDGs)で海洋プラスチックが取り上げられ、プラスチック使用量削減のために2020年に国内でレジ袋が有料化されました。一方、大気中濃度の観測例は非常に少なく、都市域などにおける大気沈着量の報告例はあります(例えば、Allen et al., Nature Geoscience, 2019; Brahney et al., Science, 2020)。海洋で微細化したプラスチックが大気へ放出され、陸域への輸送量は年間14万トンとの推計もあり(Allen et al., PLOS ONE, 2020)、大気を介したマイクロプラスチックによる地球規模汚染の実態解明と健康影響評価は喫緊の課題です。
図は福島駅前キャンパス屋上。矢印は観測機材の設置場所。 -
医療現場を目の当たりにして
2021/02/24約1年前、初めて約1か月間入院をしました(附属病院ではないです)。入院の理由は腰痛で、寝返りをするだけで激痛が走り、最終的には自力で立ち上がることができなくなりました。腰痛の原因は血液検査、一般細菌検査、画像診断などの結果から、細菌による椎間関節の炎症でした。入院中は、医師や看護師をはじめ、本学保健科学部に関係する理学療法士、診療放射線技師、臨床検査技師と直接的または間接的にかかわる機会がありました。入院中に思ったことは、医療従事者と患者との意思の疎通の大切さでした。例えば、腰痛が思うように改善されない中でのリハビリでは、初めはあまり前向きではありませんでしたが、理学療法士の方との対話(最新のリハビリの話は興味がありました)や取り組みにより前向きになることができました。その結果、リハビリも良い方向にいったと思います。一方で、診療放射線技師の方がCTやMRIの画像撮影時に体勢を調整するためいきなり体を動かしたため、患部に激痛が走り、何度か気を失いそうになりました(撮影が恐怖でした)。撮影時のみという少ない時間で意思の疎通は難しいですが、事前に一声かけてもらいたかったと思いました(もちろん丁寧な方もいました)。そこで、医療従事者と患者との意思の疎通を図るためにはどうしたら良いのか?
今回、医師、看護師、理学療法士などの専門職によるチーム医療を初めて目の当たりにして、その重要性を感じました。チーム医療では医療従事者同士の意思の疎通も大切な要素ではないかと考えながら医療従事者の方を見ていました。
図は激痛を堪えながら撮影したCT画像のコピー。主治医の先生から、ペンで書き込みをしながら説明していただきました。専門的なことはわかりませんでしたが、椎間関節が炎症により溶けているとのこと。 -
福島の地で何を学ぶのか?
2020/11/042011年3月11日に行った東北地方太平洋沖地震に伴い、津波、福島第一原発事故による東日本大震災が起こりました。当時、私は福島県外の大学に所属していました。震災から約1か月後、福島県内において住民へのスクリーニングをはじめとして、甲状腺被ばく検査や環境放射線調査などに参加しました。環境放射線調査では、放射線測定器を車に積んで、放射性物質による環境汚染が重度な地域において空間線量率を測定しました。その際に、地震や津波により道路や住居などの建造物が破壊されている光景を目の当たりにするとともに、これまで見たこともない空間線量率の値を見て、震災の甚大さを肌で感じました。
震災から約3年後に、当学に勤務することになりましたが、授業の一環で原発事故に関する話題を取り上げることがあります。震災を体験した学生や震災に興味を持つ学生もいますが、あまり関心を持たない(持っていない)学生の方が多いように感じています。震災から9年以上経過していますので、関心が薄れてしまうことは仕方がないことかもしれません。医療人として専門知識・技術を学ぶことはあたり前ですが、災害を経験した(経験している)福島の地で何を経験・体験するのか?
上と真ん中の写真は、2011年9月に浜通り北部の山間部と沿岸部でそれぞれ撮影したものです。上の写真では地震により道路が破壊され、真ん中の写真では津波により砂浜が破壊されています。真ん中の写真で中央に見える建物は福島第一原子力発電所です。また、下の写真は、2011年4月に浜通り北部において放射線測定器により測定した空間線量率です。 -
好きこそものの上手なれ
2020/08/26私は、大気汚染や自然放射線による環境や人への影響やそのメカニズムに興味を持ち、研究に取り組んでいます。私が大学生だったとき、あまり大学に興味を持てず部活やアルバイトに明け暮れていました。今考えると、明確な将来像がなく、自分の知識・経験不足もあり自分の興味と大学での講義をリンクすることができなかったことが原因かと思います。その後、研究職に興味を持ち、研究に没頭し、幸運にも今に至っています。まず何に興味があるのか、何がやりたいのか。もし医療職に興味があれば、本学で体験してはどうでしょうか。あとは自分次第です。
写真は、モンゴル南東部の砂漠地帯における自然放射線のフィールド観測風景です。フィールド観測には体力や周囲との協働を要するので、趣味のフットサルに励んでいます。