教員からのメッセージ
医用画像工学
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旅
2024/05/15ようやく感染症の流行が落ち着き、以前のように世界中に旅行者が戻ってきました。オーバーツーリズムなどの問題もありますが、やはり人間には旅したいDNAがあるのでしょうか。
今年のゴールデンウイーク明けに京都に行ってきました。マスクをせずに新緑の空気を吸うことができて、心穏やかにリフレッシュすることができました。
写真は、無鄰菴という明治・大正時代の政治家山縣有朋の別荘で、その庭園風景です。小川のある里山の風景が作られ、その奥に遠くの東山が見えるようになっています。機会があると訪れていますが、今回は青もみじがとても映えていました。
旅先で出会った人、食べ物、風景などの感動や発見は、大袈裟ですが自分の生き方に影響を与えるくらい貴重な経験であり、さらに人生の大切な思い出となっています。 -
MRIと閉所恐怖症
2023/03/15MRI検査が世の中に出てから30年以上経ちました。装置の高性能化と撮像技術の急速な進歩により、今では、身体の様々な部位の病巣を明らかにしてくれるようになりました。MRI装置は、身体の断面を画像化することができます。大きな磁石による強力な磁場と、テレビのような電波を使って断層画像を作ります。放射線を使わないため、 MRI検査は被ばくが無いところも優れた点です。
写真はMRI装置の外観です。強力な磁力を発生させるため大型で、その中央の穴に身体を入れて検査します。頭の検査の場合、膝から上の身体が穴の中に入ります。頭には全体を覆う大きなヘルメットのようなものが被せられます。検査時間はかなり長く、30分以上かかることもざらです。検査中に身体が動くと撮りなおす必要があり、それを防ぐためヘルメットの中で頭を左右からがっちりと固定します。ちょうど耳のあたりが抑え込まれ、外の音が全く聞こえなくなります。目を開けるとヘルメットの小さな窓からMRI装置の内側が目の前に迫っています。このように、MRI検査の圧迫感はかなりのものです。さらに検査時は、工事現場の「ダッダッ,,」、「ガッガッ,,」とでもいうような大音響です。
大抵の方は、そんな状況でも普通に検査を受けています。しかし、耐えられない方も稀にいます。実は、私は閉所恐怖症でMRI検査を受けることを恐れる1人でした。30年弱も検査をする側だったのに、先日、どうしても頭の検査を受けなくてはならなくなりました。前に働いていた旧秋田県立脳血管センターで受けました。事前にスタッフに事情を説明して検査に臨みました。極力検査時間を短縮し、途中何度も声をかけていただきながらなんとか終えることができました。患者になってみて、医療従事者の心のこもったケアがいかに大事か、改めて身に沁みました。やはり、将来、診療放射線技師の仕事が、人工知能に奪われることは決してないでしょう。 -
広瀬川の鮭
2021/12/15私が住んでいる仙台市には、「青葉城恋歌」の歌詞にもある広瀬川が中心部を流れおり、川の両脇の至る所に遊歩道があり散歩やジョギングをする人の姿が多くみられます。私の家から歩いて10分程のところにもあり、河原に降りて水の流れの音を聴きながら高層ビルと季節ごとの木々の色のコントラストを楽しむことができます。
毎年11月初旬になるとこの場所を訪れ、鮭の遡上を観察するのが大好きです。川幅いっぱいに大きな堰があり、その下の流れが落ち着いたところで鮭たちが繁殖行動してしています。それを見ていると、小学校の頃、鮭の一生を教科書で読んだ記憶がよみがえります。アラスカの海まで行き、4年後に故郷の川に戻ってくる能力に驚いたことを覚えています。夕暮れ時、水面に背びれを出しながらジャバジャバと、最後の力を振絞り懸命になっている鮭の姿を見ると、胸を打たれます。その姿は、私の歳のせいか人生に重ねてしまいます。
そんな鮭たちをここ数年見ることが少なくなりました。特に昨年から急激に減り、10月に少しの群れが来たぐらいで今年も終わってしまったようです。水産庁のデータを調べてみたところ、北海道を含め日本各地で鮭の遡上が激減しているそうです。そしてその原因は、地球温暖化と明言しています。冷たい海水でしか生きられない鮭は、もう広瀬川には戻らないのでしょうか。 -
画像診断に人工知能
2021/02/03毎日のように、人工知能(AI)の話題がTV、新聞等で見られるようになりました。医療分野もでは特に画像診断には早くから進出し、次々とAIによる画像診断を補助するソフトウェアが製品化されています。AIが自動で病巣を発見しその良悪性の判別を行い医師に提示します。
近年、画像検査数の増加や診断の難しい症例など、画像診断を行う医師の負担が増しています。この解決策としてAIは有効です。AIの解析結果を参考にして医師が診断を行うと、負担が軽減することがわかっています。発見が困難な病巣をAIが検出して、医師に提示して見逃しを防いでくれるのです。
4、5年前から、AIの病巣検出能力が医師を上回る研究報告が幾つも報告されています。そのため、将来AIが医師の仕事を奪うと予測する研究者もいました。しかし現在は、優れた能力をもつAIがあろうとも診断するのは医師であり、AIは画像診断の補助ツールとして用いなさいと明言されています。 これからは、いかに上手くAIを利用して診断していくかが重要になってきます。なぜなら、医師の能力を超えたAIを用いて画像診断したとしても、万が一誤診した場合に責任を負うのは医師だからです。 -
ベートーヴェン
2020/10/21今年はベートーヴェン生誕から250周年でした。世界各地で記念イベントやコンサートが企画されていました。しかし、新型ウィルス感染症(コロナ)のパンデミックによってほとんどが中止になってしまいました。私は、楽器を演奏できませんし楽譜も読めませんが、最近クラッシック音楽にはまっています。特にベートーヴェンの「悲愴」と「月光」が好きで仕事中よくBGMで流しています。ベタな曲で本格的に聞かれている方から笑われてしまうかもしれませんが。10代の頃は退屈な音楽だと思っていましたが、歳を重ねると人生経験が曲と共鳴するようになるのでしょうか。今年の年末、例年の交響曲第9番ニ短調《合唱付き》コンサートが開催されることを祈るばかりです。
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はじめまして
2020/08/19画像診断の質の向上のために医用画像の新しい解析・処理法について研究しています。特に、人工知能(AI)を用いて脳疾患のCT画像診断を支援するシステムの研究開発を行っています。私は、診療放射線技師として長く病院に勤務したあと、医療現場で多くの診療放射線技師が活躍できるように願い、教員になりました。長い臨床経験を活かして、また研究を通して、診療放射線技師を目指し学ぶ皆さんのお手伝いをしたいと思っています。