教員からのメッセージ
放射線腫瘍学、放射線災害医療学、リスクコミュニケーション学、がん教育
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がん教育でエネルギーをいただいた
2021/08/18がん対策基本法により健康教育の一環として、こども達に対し “がん教育”が始まっています。放射線治療医としてがん治療に参加・がんのサバイバー・放射線災害のリスクコミュニケーションの経験などを生かして、がん教育外部講師の研修を受けてみました。21年1月 南相馬市立石神第二小学校の5年生を対象にがん教育の授業を担当させてもらいました。生徒さん達も緊張されている様子でしたが、こちらも最初のつかみを失敗しないようにドキドキでした。
なぜがんになるか、がんになりやすい生活習慣等について説明するうちに、調子が上がってくると生徒さん達の反応も上がってきました。“福島県の事故による放射線影響よりも生活習慣のほうが、ずっとがんリスクが高いので、大人になるまでにがんになりやすい生活習慣の1つに気をつけると逆転できるよ!”説明をしたところ、みんなしっかりと理解してくれました。
自分の闘病についても少しお話ししましたが、つらいときに“Vサイン”で乗り切った話をしたら、最後の写真撮影の時、全員がVサインをしてくれ笑ってくれました。50分の授業があっという間で、生徒さん達からエネルギーをたくさんいただきました。
この経験を当学の学生さん達にも伝えようと思っていますし、福島県の明るい未来のために役立ってくれれば良いと考えています。
写真は講義で使用したスライドの一部・生徒さん達と一緒に撮影した写真・後ほど送っていただいた感想集で、研究室に飾ってあります。 -
医療者の力(患者側からみた、チーム医療)
2021/05/1139才の春。診療応援先の病院が移築し、診療開始に向けて準備を行っていました。放射線部ではCT撮影データの検証をする必要があり、自ら手を上げて私のCTを撮影してもらい、テストする事になりました。そのCTで肝臓に6cmの陰が確認され、自分で“典型的な肝臓癌の所見”と診断しました。“えっ アーチファクト? 機械壊れていんじゃね? まじか・・・”と、機械の異常のせいにしようとしましたが現実でした。内科を受診し精密検査を受けると、“肝硬変と多発肝臓癌で5年生存率は17%です・・・”と説明され無言に。インターネットを検索すると暗い情報ばかりで、肉体的・精神的ポンコツ状態へ頭からまっしぐらに転落。“ふーっ きっつー とにかく酒とタバコはやめなきゃな”と混乱状態。
とはいえ治療しないと光はありませんから、優しい看護師さんにカツを入れられながら肝臓動脈塞栓術を受けた結果、腫瘍は縮小し腫瘍マーカーも正常化、生体肝移植の可能性が出てきました。兄から移植を受けることになり、術前検査のHLA適合検査・採血・エコーなどで検査部に通いました。外科での移植術後、弱った精神と肉体を理学療法室の先生に鍛え直してもらい、自分で立てるようになり退院となりました。
現在13年が経過、元気で人生を楽しんでいます。お世話になった医療スタッフの方々に対し、感謝しかありません。みなさんも人の命を守るチームの一員となる事を目指しましょう!高い技術力と豊かな感性持ちながら、患者さんと同じ目線を有する医療者を目指して一緒に頑張りませんか?
写真:上から、治療時のCT・移植後ICU・リハビリ中・息子とVサイン