教員からのメッセージ
臨床精神医学、老年精神医学、認知症
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チーム医療と作業療法士
2024/11/20最近、チーム医療、多職種連携といった言葉を耳にすることが多くなりました。チーム医療とは、医療の専門職がそれぞれの知識と経験を活かし、情報を共有して連携・補完しあいながら、患者さんとともにその人らしい生活を実現するための医療です。
福島県立医科大学では医療系総合大学の特色を生かし、医学部、看護学部、保健科学部の3学部合同によるチーム医療の演習が行われます。提示された症例をもとに、必要と思われる検査、治療やケアに関して3学部の学生がそれぞれの立場から活発に意見を述べます。皆で協力しながら、治療やケアの方向性を決めていく過程は、学生が他の医療職の仕事の内容を知る良い機会にもなります。
作業療法はリハビリテーションを通して、患者さんの心理社会面にもアプローチし、その人らしい生活の実現を目指します。長い経過をたどる慢性の病気や障がいをもつ人を支えるチーム医療の中で、作業療法士は要となる存在です。福島県立医科大学では、チーム医療でも活躍できる作業療法士の育成に力をいれています。 -
休日の楽しみ
2023/08/09温泉王国である山形県にはいくつもの日帰り温泉施設があり、自宅から徒歩10分圏内にも泉質の異なる2つの温泉があります。休日には少し足を延ばして「りんご温泉」に行くのが最近の私の楽しみです。
この温泉は、ワインとりんごの産地として知られた朝日町にあります。少し遠いのですが、好きな音楽を聴きながら信号のない山道を運転するのも楽しみの一つです。泉質は植物由来の有機質を含んだモール泉で、少しあぶらのにおいがしますが慣れると癖になります。肌に触れるとツルツルとした感触が特徴で、ゆらゆらと浮かんだりんごは気持ちを和ませてくれます。
春には敷地内の高台に露天風呂がオープンし、月山や最上川、温泉周囲の田畑が一望できます。豊かな自然に囲まれたこの温泉は、こころと身体のリフレッシュに最高です。 -
職場のメンタルヘルスと作業療法士
2022/06/08入学や就職などで新たな生活が始まってから2ヵ月程経ちますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?職場を長期に休む原因として最も多いのがうつ病などの精神疾患です。うつ病は再発しやすいため、復職する際にリワークプログラム(復職支援プログラム)を通して長く働き続けるためのセルフケアを身につけることが大切です。リワーク参加者はこれまでの働き方を振り返り、グループディスカッションを通してうつ病になりやすいこれまでの自分の考え方や人付き合いの癖を見直します。また、無理のない働き方や自分にあった余暇の過ごし方などを見つけ、うつ病と上手に付き合っていく術を学んでいきます。
リワークプログラムの中で働き方や人間関係での困りごと対処法、余暇の過ごし方などを一人一人の特性にあわせて助言するのも作業療法士の重要な役割です。また、精神疾患をもつ人の職場に出向き仕事を支援するジョブコーチとして働く作業療法士も増えています。職域においても作業療法士の活躍の場が広がっています。 -
認知症予防と作業療法士
2021/06/09新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、ストレスを抱えている人も多いと思います。外出や運動する機会が減り、食べすぎ、飲みすぎの方もいるかもしれません。中年期における肥満やアルコールの過剰摂取は認知症の危険因子であることがわかっています。1週間に168gを超えるアルコール(ビールでは約4.2リットル以上)を飲む人は認知症になりやすく、生活習慣の改善が必要です。また、高齢期においては、社会的孤立や身体不活動が認知症の危険因子に挙げられています。作業療法士には、地域における運動を含めた活動や高齢者の生活を多方面から支援する役割があります。今後、認知症予防の分野でも活躍が期待されます。
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ふるさとの海
2021/05/11私は、この4月に山形大学から福島県立医科大学に異動となり、作業療法士の育成に深く関わるようになりました。入学や就職、あるいは職場を異動した際に、“出身はどちらですか?”と尋ねられる人は多いと思います。私も出身地を話すことが増えたためか、この頃、生まれ故郷を思い出すことが多くなりました。私のふるさとは、夏は涼しく、冬は東北の中では温暖で雪が少なく自然豊かなところです。田舎町で小学生の頃、眼の病気にかかった時は電車で片道50分かけて眼科を受診したこともありました。当時、不便は感じず、電車に乗って出かけるのが楽しみだったことを覚えています。自宅や学校から海が近く、私にとって海はとても身近な存在でした。中学時代、卓球部に所属していた私は、足腰を鍛えるためによく海に行き、海風を感じながら部活の仲間たちと砂浜を走り回りました。高校時代は、通学電車の車窓から見える青い海が、疲れた心を癒してくれました。大学入学後は帰省した際に大学の友人を実家に泊め、新鮮な海の幸を食べながらふるさと自慢をしたことが懐かしい思い出です。私の生まれ故郷は福島第一原子力発電所から10㎞圏内にある富岡町です。ふるさとを離れて40年近く経ちますが、疲れた時は今もふるさとの海が見たくなります。作業療法には、対象者の生い立ち、趣味、職歴などを加味しながら、その人の生活を様々な角度から支援する役割があります。私が作業療法を受けるとしたら、海をテーマにした作業を何か取り入れてもらえたらと思っています。写真は富岡町の海岸から見た日の出です(2007年1月3日撮影)。