教員からのメッセージ
基礎作業療法学、障がい者スポーツ、認知症者の生活支援、転倒予防、作業活動(アクティビティ)
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授業に向けての様々な準備
2023/11/08先日、本学部のとある授業の学生引率で双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」と三春町の「コミュタン福島」へ行ってきました。ここでお話しするのはその授業内容の紹介というよりは、授業の裏側のお話です。
この授業では移動用のバスの借り上げや、見学先の施設の予約をはじめ、見学するコースの検討や、それに伴うタイムスケジュールの調整など様々な準備が行われます。また、この授業に限らずですが、すべての授業において、学生がより学べるようにと、授業資料の作成や、授業で使用する機材の準備等、様々な準備をして授業に臨んでいます。また、私が担当する作業療法の専門の授業では、陶芸や木工、革細工、といった作業活動を行うのですが、それらで使用する道具や材料の補充、また、道具のメンテナンスなども行ったうえで授業に臨んでいます。
このように学生が何気なく受けている授業も様々な準備の下に成り立っています。学生の皆さんにはそれをわかってもらったうえで授業にぜひとも臨んでもらいたいなと思うところです。 -
資格の更新をして思うこと
2022/11/09私は趣味(?)でいろいろな資格を集めています。そのなかの一つに介護支援専門員、いわゆるケアマネージャーの資格があります。この資格は、5年ごとに更新のための研修を受講し、更新をすることが法律で決められています。正直、面倒くさいと思うのですが、職業としての専門性や質の保障という意味では大事なことだといえます。
一方、私の職業でもある作業療法士という資格は、今のところ更新をする必要がないですが、逆に考えると、その専門性や質の保証というのは、作業療法士自身が行う必要があり、自分自身で学び続けるという姿勢が求められます。これは大学での勉強にも通ずるものがあるなと、介護支援専門員の更新の研修を受講していてふと思いました。皆さんも大学に入学したら、授業で習うことだけで満足するのではなく、より深く多様なことを学んでください。
添付の写真は、本文とは全く関係がないのですが、現在行っている陶芸の授業での作品です。芸術の秋です。 -
“作業活動”の治療効果について再度考えてみました
2022/03/16令和4年3月11日に福島駅前で開催されたキャンドルナイトに、私の担当する授業で作製したキャンドルカップが展示されました。キャンドルカップ自体は陶器でできており、本学科学生が苦労しながらも、東日本大震災で犠牲になった方々への追悼の意と明るい未来への祈りを込めて作り上げたものです。来場いただいた方からも「きれい」「すごい」とコメントをいただきました。コロナ禍ということもあり、多くの学生が参加できなかったのですが、本学学生にもぜひとも直接聞いてもらいたかったです。
作業療法では陶芸のような作業活動を用いて治療をすることがありますが、その際に、作品作りの工程そのものがもたらす治療効果の他に、作品を展示することによって自己の承認欲求を満たしたり、自信を獲得したり、自己の存在を再認識したりなど、様々な治療効果があります。本学科の学生にもそういったことを理解したうえで作業活動を提供できる作業療法士になってもらいたいなと思いました。 -
めばえ
2021/12/08作業療法において、治療として園芸を用いることがあり、それを自ら実践するために、現在、家庭菜園というほどでもないですが、研究室内で野菜を育てています。種を蒔いて芽が出たときには非常にうれしくなります。
さて、保健科学部もこの4月に開学し、1期生が入学してきました。家庭菜園と一緒にするのは失礼かもしれませんが、この保健科学部の建物、設備、カリキュラムという「土壌」に1期生という「種」が蒔かれたとも言えます。
家庭菜園では、土壌に種を蒔いて終わりではなく、芽が出た後も、水やりだとか肥料の散布、虫が寄り付かないようにするといった、その後のフォローがとても大事になります。再度、家庭菜園と一緒にするのは失礼かもしれませんが、学生の教育も同じです。入学した後に、学生自身が自ら考え行動するのはもちろん、教員側のからのフォローも成長には必要だなと実感します。
ちなみに写真は、辛い唐辛子として有名なハバネロになります。このまま順調に育ってくれるとよいのですが・・・。 -
カリキュラム以外での学び。
2021/07/14突然ですが、皆さんは、“認知症サポーター”を知っていますか?
認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識・理解をもち、地域や職場で認知症の方やそのご家族に対して手助けをする人のことです。作業療法士になれば、認知症の方とかかわることはもちろんあります。が、作業療法士になる前にも、認知症の方に適切に関わることができる学生であってほしく、先日、作業療法学科の学生を対象に認知症サポーター養成講座を開催しました。参加は任意でしたが、作業療法学科全員が受講してくれ、主催者としてはうれしい限りでした。講座を修了し、作業療法学科の学生は、晴れて認知症サポーターとなりました。
このように、作業療法学科では作業療法士になるための勉強はもちろんですが、それ以外にも様々な学びの機会を提供しています。せっかく大学に入学するわけですし、自分の専門分野以外の事柄について学べる機会があるのであれば、学生自身もその機会を十分に活かしてもらいたいと切に願っております。 -
人間を賢くし、偉大にするもの
2021/02/03「人間を賢くし人間を偉大にするものは、過去の経験ではなく、未来に対する期待である。」これは、イギリスの脚本家・劇作家であるバーナード・ショーという方の言葉です。新たに入学される皆さん(受験をされる皆さんもですが)は、これからの大学生活、各種専門職としての未来に対して大きな期待があることかと思います。この言葉には続きがあり、「なぜならば、期待をもつ人間は、何歳になっても勉強するからである」とあります。未来への期待だけでなく、結局は勉強をしなければ、賢く、偉大にはなれないということなのかもしれませんが、勉強を継続するにあたっては、未来への期待というのは、確かに大きな原動力になります。入学後も、未来への期待を抱き続けられるようにするのも教員の役目なのかなと思います。
と言いながらも、私自身の学生時代を振り返ってみると、作業療法士がどんな職業なのかも知らずに入学したこともあり、未来に対する期待をそんなに抱いていなかったので勉強に大変苦労した記憶があります。
皆さんは、せっかく勉強するのであれば大きな期待をもって勉強することをぜひともお勧めします。作業療法は奥が深いので、一緒に学んでいきましょう。 -
没頭できる“何か”
2020/10/21皆さんも経験があるかと思いますが、人は何かしらに没頭、集中することがあります。この状態をフロー(またはゾーン)と呼びます。このフロー状態は、何かしらの作業活動に取り組んでいる際の最適な心理状態とされており、自身の能力と作業活動の難易度とのバランスが大事となります。大学というのは、授業で学ぶことももちろん大事ですが、それに加えて、部活・サークル活動、アルバイト、ボランティア活動など、自らが進んで取り組んで没頭できる何かを見つけることも大事です。もちろん学業に没頭するというのもよいことです。
さて、作業療法学科では授業として“作業活動”を行います。写真のような陶芸や木工、革細工、はたまたレクリエーションと多種多様な作業活動を行います。私自身、こういった作業活動に没頭することも多々ありますし、こういった作業活動がもたらす治療効果について突き詰めていくのも面白いです。
皆さんも入学した際には、ぜひとも没頭できる“何か”を見つけ、学生生活との両立に励みましょう。 -
一人暮らしと作業療法
2020/08/19私は、島根県で生まれ育ち、大学への入学を機に青森県に移動し、この4月から作業療法学科の教員として県立医大に着任しました。着任と同時に、10数年ぶりの一人暮らしをすることになりました。一人暮らしをすると「生活すること」の大変さが実感できます。作業療法では、対象者の一人ひとりの日常生活における様々な課題に向き合い、課題解決に向けて治療を行います。私も、日常生活における様々な課題に対して「どうすれば、もっとよくなるか。」と考えながら、自分自身に作業療法を実践し毎日を過ごしています。作業療法は創意工夫が大事で、それがまたおもしろく、楽しいです。学部開設後に、皆さんと作業療法について学び合えることを心より望んでいます。