臨床検査学科の松田将門 助教(筆頭著者、責任著者)らの研究論文が「Journal of Infection and Chemotherapy」誌に掲載されました。

【論文タイトル】
 Improving diagnostic performance of coronavirus disease 2019 rapid antigen testing through computer-based feedback training using open-source experimental psychology software
 (オープンソースの実験心理学ソフトを用いたコンピュータ上で行うフィードバックトレーニングはコロナ抗原検査の結果判定スキルを向上させる)

【論文概要】
 コロナ抗原検査では、検査キットに検体を滴下して発色ラインの有無を目で見て陽性/陰性を判定します。この検査法はイムノクロマト検査といいます。
 イムノクロマト検査では、ウイルスなどの抗原量が多いほどラインは濃く現れるので容易に判定できますが、逆に、少ないほどラインは薄く現れるので判定は難しくなります。すると、本来は陽性なのに誤って陰性と判断してしまうこと(すなわちラインの見逃し)が危惧されます。
 イムノクロマト検査の結果判定スキルを向上させるために、従来、検査経験を積むことが重視されています。もちろん、検査経験を積むほどスキルは向上しますが、それには時間がかかります。また、多くの人が一様に経験を積むことが難しいです。そのため、効率的で効果的なトレーニング法が求められます。
 本研究では、検査結果を収めた写真を用いて、パソコン上で行う結果判定トレーニング法を構築し、その効果を検証しました。コロナ抗原検査を対象に検証したところ、トレーニングを受けた群では、単に検査回数をこなした群よりも、有意に判定スキルが向上しました。トレーニングの効果は、抗原量が少ない検体(すなわち薄いライン)の結果判定に現れました。

URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37890527/